保健師学校の1年間
私たちのように、看護学校を出て看護師の資格を持ってから保健学科に進む場合、保健学科で学ぶ期間は1年である。とても短い。だから、4月に入学して勉強が始まったかと思うと、5月くらいからもう就職試験がぼちぼち始まっていくのである。
このように、保健学科での1年は、学校の授業・実習・研究・国家試験の勉強と平行して就職試験を受けていかなければならないので、けっこう中身の濃い、あっという間の1年なのであった。
私は、保健学科に入ったものの、卒業してすぐに保健師になろうとは考えていなかった。まず、看護師として病院に勤めて臨床の場を見てから、保健師になろうと考えたのだ。なぜそう考えたかというと、せっかく取った資格なので両方使ってみて、色々経験してみたかったのだ。
それなら、まず保健師になるより病院の看護師になったほうがいいと私は考えた。なぜなら、保健師の仕事の多くは、臨床とはまったくかけ離れた市役所や保健所・企業での仕事といったことが多い。デスクワークや健康の人たちを対象にすることが多くなる。
一方、病院の看護師は、もちろん患者さんを対象とした仕事だ。夜勤もあるし、直接人の命に関わる仕事なので、肉体的にも精神的にも負担が大きい。新卒で就職するならまず肉体的に大変な看護師の仕事に就いたほうが、後々楽なのではないかと考えたのだ。
看護師の仕事をしてから「やっぱり合わなかったから保健師になろう」ということは簡単にできるかもしれないが、保健師の仕事をしてから「やっぱり看護師の仕事もしてみよう」と思い、それから初めて病院に就職するのは、肉体的にも精神的にも大変だと思ったのだ(人によって違いはあると思うが)。
保健師の学校の先生方は、「臨床の経験なんて必要ないから」と言い、私たち看護師の経験のない学生にも、卒業したら直接保健師になることを勧めていた。それも事実なのかもしれない。でも、私は臨床の場も見たかったのだ。直接的に臨床の経験は必要ないのかもしれないが、人生どんな経験でも役に立たないことはない。しかも、病院の看護師という、特殊な世界だ。見てみて損はない。私は迷わず病院の就職試験を受けることにした。
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