研究の苦労:たび猫の保健師学校の思い出

研究の苦労

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このテーマを決めるだけでもまず大変だった。産業保健といっても幅が広い。一体どのような人々を対象に、どんなことを問題にあげて研究すればいいのだろう。

 

看護学校の時の研究なんて、かなり適当で、それほど深く掘り下げなかったがそれでも許された。しかし、この学校ではどうやらそれではいけないらしい。研究の指導のために、うちの学校の先生方が指導するのはもちろん、それに加え外部から数人講師を呼んでいて、その人たちが厳しくビシバシと指導してくれ、適当なものでは許されなかったのだ。

 

私たちはテーマを決めるまでに、まずかなりの時間を要し、散々話し合った(これだけでも一体どれだけの時間がかかったことか・・・)。結局私たちのグループは全員女性だったこともあり、働く女性の健康をテーマにしぼった研究にすることにしたのだ。

 

テーマがだいたい決まったら、今度は文献検索が忙しかった。まず役に立つ文献を探すのが大変で、メンバーみんなで手分けして、真夏の炎天下学校近くの公立図書館をあちこちまわって探したのだ。こうしてたくさんの文献を読み、それからもっと具体的に自分たちのテーマを掘り下げていくのだが、多分この辺の作業が一番面倒だったような気がする。

 

文献をたくさん読み、メンバーで色々話し合い、方向性がだんだん見えてくる。私はさらに看護研究初心者だったため、看護研究の本も読み込まなければならなかった(トホホ)。そしてこの研究をいったいどういう方法でやっていくのか決める。私たちは実際に働く女性にアンケートを取り、それを集計・考察し、私たちなりに産業保健分野における女性の保健について考えることにした。

 

アンケートを作るまでにこぎつけるのも大変だったが、アンケートを作るのもアンケートをばらまくのもそれぞれ大変だった。アンケートを作る際に、統計をとるために有効な設問の作り方もこれで学んだ。せっかく良い質問を作っても、聞き方が悪ければ統計に入れられない答えをもらう可能性もあるからだ。それでも注意してがんばって作ったつもりでも、中にはせっかく戻ってきたアンケートの答え方が曖昧で、統計に入れられなくてがっかりしたこともあった。質問が悪いとせっかくの努力も水の泡になるのだ。

 

そしてある程度の数のアンケートをとらないと、有効な統計が取れない。みんなそれぞれ知り合いの知り合いなどのつてを頼って、働く女性にアンケート用紙を配った。私も大学時代の友人に頼み、色々な会社に配ってもらい、アンケートに答えてもらった。このアンケートにこの後のすべてがかかっているので、これは重要な作業であった。

 

さて、アンケートを回収したら、今度はその統計をとらなければならない。この頃から具体的な細かい作業に移っていったような気がする。メンバーにそれぞれ仕事を振り、パソコンなどをフル活用しながら統計をとっていくのだ。

 

私はこれまで、本格的な看護研究みたいなことはやったことがなかったので(看護学校の時のものは今思えば作文に毛が生えたみたいなものだった)、これが初めての経験であった。私のグループの中には、何人か臨床の看護師を経験した人がおり、中には看護研究を何度かやっている人もいたので、そういう人たちが中心になって進めてくれた(私はひたすらついていくだけだった^^;)。

 

授業で習った統計学やら疫学(多分)をフル活用し、統計をとった。数学とかがめっきり苦手な私は、「ほほぉ〜、こういう時にこういうふうに統計学を使うのか」と感心しながら言われたことを黙々と作業するのみ。本当についていくのが大変だった。こうして私たちの研究は、私の理解度とは関係なく進んでいった。

 

私たちは、それぞれ就職活動や就職試験のための勉強(公務員試験を受ける人も多い)や実習をしながらこの研究を進めていくのだ。しかも、この間に各学科の試験も入ってくる。もちろん夏休みも研究のために集まることが何度もあった。そうしなければ時間がないのである。時間がないながらもグループで進めていくこの作業、本当に苦労したものだ。

 

このようにどのグループも苦労しながら研究をしていくので、当然グループ内に波風が立つこともあった。みんな自分のことで必死だし、それに加え研究の大変さがある。しかもなかなかまとまらない・・・。途中でもめごとが起こるグループもあったし、私たちのグループも何度か険悪な雰囲気になりながらどうにか進んでいった。

 

こうして約1年近くかけ、グループ研究を完成させた私たち。もめごとがあったと言ってもみんな大人の人たちばっかりだったので、最後はみんな気分よく終われた(はず)が、終わった時私はもう二度とグループ研究はやりたくないといった心境であった。というか、看護の研究はもう二度としばらくやりたくないと思った私であった。

 

まあ、それにしてもこの研究を通して、多くのことを学べたことには違いない。看護研究とは一体どういうものかから始まって、アンケートの取り方やら統計学のこと、論文のまとめ方や発表のしかた、すべてが勉強になった。将来私がこの勉強の成果を生かせるかどうかは疑問だが、あのくらいお尻をたたかれなければ私は一生研究をやらなかったかもしれない。

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